「光をもたらすもの」ルシファー。その名はラテン語で「明けの明星(金星)」の意を表す。ヘブライ語ではヘレル・ベン・サハル、つまりは「暁の輝ける子」であるという。総ての天使の名で最も気高く美しい存在であった。十二枚の翼を持ち、サタネルでもある「悪魔王」ルシファーは、キリスト教に於ける七つの大罪での「傲慢:Pride」を司る存在でもある。その由来は言うまでも無くルシファー自身の堕天に起因すると考えられる。
自身を神と同等、あるいは神よりも優れていると認識したルシファーは、全天使の三分の一を率いて神に反旗を翻す。神に対し明確な反乱を実践した堕天使はルシファーの他には皆無であろう。
また、ルシファーは楽園より堕天させられた初の天使である。堕天の際にルシファー自身が地表に激突した場所は、エルサレムから正反対の地――つまり南半球とされている。ここからルシファーを恐怖した大地が嫌悪の意を表して地表を縮めたことで、南半球は海の占める面積が多くなった、というエピソードも存在する。
地表に衝突したルシファーは、自身の罪の重さによって地球の中心まで引きずり込まれ、地の底で地獄を創り上げたとされる。そして、ルシファー自身はそのまま地獄の王となったのである。
堕天使の代名詞とも言えよう最もメジャーな堕天使ルシファーの影響力は、たとえ地の底に封じ込められようともあらゆる人間を罪へと誘い地獄へ引きずり込もうとしている。その見えない力は重力のように作用し、地表へ落ちてくる隕石はルシファーの仕業ともされている。
まさに地獄――重力の井戸の底――の王たる所業といえよう。
