マモンの名はギリシア語で「富・財」の意味する。キリスト教に於ける七つの大罪での「貪欲、強欲:Greed」を司る。その由来はマモン自身が金銀財宝に貪欲で、人間にも同様の影響力を及ぼす為である。

人の胴に鳥の頭を持つ黒き悪魔の姿で描かれる。ソロモン七十二柱のアモン/Amonとは、その受け持つ性質や姿から同一の存在、とする解釈もあるようだ。

マモンは天使であった頃より金銀財宝をこよなく愛し、その浅ましさは「他に比類なき」と形容される程であった。結局、その強欲が仇となり堕天に至るが、その程度でマモンの貪欲さは潰える事はなかった。地獄に堕ちてもマモンは他の堕天使達を指揮し金銀財宝の採掘に精を出していた。

また、マモンは貴金属、希土類の採掘を人間に教えたともいわれる。中世ヨーロッパでは、教会への助力(いわゆる資金援助、または御布施か)を惜しむ者への非難に、七つの大罪の「貪欲」つまりマモンを利用した形跡が残されている。現在に至っても我々人間は相も変わらず貴金属、希土類に価値を見出したままであり、時には採掘権を巡って紛争すら起こす有様である。

・・・人が人たらんと貪欲でいる限り、マモンの嘲笑が止む瞬間は、永遠に訪れることは無いのかもしれない。

余談ではあるが、「全欧地獄百科事典」という書物に記されるマモンは「地獄の駐英大使」であったという。これは欧州(大陸側)が、当時の英国の企てをどのように捉えていたのかを如実に表す興味深い資料といえるだろう。

マモン/Mammon