プロセルピナは元来ギリシャの「冥界の女王」ペルセポネであり、ギリシャの神々をローマが取り込み生まれた神であった。プロセルピナはペルセポネのローマ読みなのである。さらにそこからキリスト教に吸収され、「冥界の女王」から「女悪魔達の女王」となった。

プロセルピナ(ペルセポネ)は、元々は冥界に属す神ではない。ペルセポネは、魔法の絵の具で春の花を彩る=開花、つまりは春の訪れを司る女神だった。

しかし、ペルセポネの生命溢るる姿に心奪われたのか、冥界神ハデスが彼女を妻にすべく連れ去ってしまう。母神デメテルは懸命な捜索の末に、遂に娘が兄神ハデスによって冥界にさらわれたことを突き止める。豊穣神であるデメテルは、この怒りを地上界への「飢饉」という形で表した。

このままでは地上界が滅ぶ、と考えた主神ゼウスは「冥界のものを食した者は冥界に属する」という原則さえ破っていなければ、冥界からペルセポネを連れ戻せると宣告する。しかし、あまりの飢えと渇きに、すでに彼女は冥界のザクロを六つ食べてしまっていた。

ハデスは先の原則に則って、彼女はすでに自らの嫁だと主張した。ゼウスは折衷案として一年のうち「六つのザクロ」=六ヶ月を冥界で、残りを地上で過ごす事を提案した。・・・こうして彼女が冥界にいる間は穀物は育たず、春に地上へ戻ると野に命が溢れるようになったのだ。

・・・春の息吹の女神から、冥界の王にさらわれ彼の地の女王となり、果ては女デーモン達の主にまで貶められたプロセルピナ。彼女の命運は、どこまで転落させられるというのだろうか?

プロセルピナ/Proserpina