アザエルの名は「神により強くされた者」を意味する。グリゴリリーダーのアザゼルとその名が似ていることから、よく混同されるがあくまで別の天使であるという。

グリゴリの一員である彼は地上の監視を続けるうち、他のウォッチャーと同じように地と人の誘惑に負けて、ネフィリム(巨人)を生み出した。

ヘブライの古代伝承に(後にエジプトの守護天使となる)ウザと共に「すぐに誘惑に屈する人間の庇護を辞めること、むしろ人類絶滅」を、神に直訴したという話がある。その際、神は直訴を聞き入れる条件をひとつ出した。「おまえ達自ら地に降り人と暮らし、100年の間誘惑されなければ考えないこともない」と。・・・しかし、地に降りたアザエル達は誘惑に負けてしまうのだ。

アザエルが魅惑された女はレメクの娘ナアマである。アザエルはナアマと交わったことで神に罰せられることとなるが、すでにナアマに魔術を授けた後であった。また、彼に与えられた罰は、審判の日まで荒野の鋭き岩の上に鎖で縛られることであった。

ナアマより生まれたネフィリム:「強き者」アザは、アザエルとともに暗黒連山に住みつき、古代イスラエル王であるソロモンに知恵を与え、預言者エノクを偉大なるメタトロンに変容させることを拒んだと伝えられている。

他の古ヘブライ文献には、やはりウザと共に人類の祖アダムの創造に反対し、創造されたアダムが誘惑に負けないか監視する役を負ったともある。

アザエルは「神によって与えられた力を、神に反抗する為に揮う」べく用意された存在なのかもしれない。

アザエル/Azael