ルキフェル、ルキフグスとも呼ばれる。名は「光を避ける者」の意。ルシファーの「光を掲げる者」に対するものだろう。その姿は禿頭に捻れた三本角とぎょろついた目、ロバの足と尾が生える異形のもの。上質の服をまとい、輪と袋、或いはフラスコを持つ。

魔道書「グラン・グリモア」によれば、ルキフゲは地獄帝国の最高権力者ルシファー、ベルゼバブ、アスタロトらに仕える上級悪魔のひとりにして、地獄全土の宰相である。ルシファーから世界の財宝と富の全ての管理を移管され、それらを完全に支配する。ルキフゲの配下にはバエル、アガレス、マルバス等、有力な地獄の王侯が仕える。

ルキフゲの既知の能力は大きく分けて二つ。ひとつは自らを召喚した者に、悪魔王から付与された能力で、地に隠された財宝の在り処を教えること(別の資料では「あらゆる望みを叶える」とも)。もうひとつは破壊能力。地を操り地震を起し神聖なる場所を破壊する。また、人々に疫病と奇形をもたらすとされる。

しかし、強力な利益をもたらすルキフゲの召喚は容易く無い。普通の召喚術では強大な彼を魔界から呼び出せないのだ。まずは、ルキフゲの支配者ルシファーに彼の顕現を請うことから始め、媒介には「本」を使わねばならない。さらに召喚後も彼を服従させる為には、特別な召喚円を用いたうえ「破砕杖」が必要なのだ。そして、願いが成就したのなら、召喚者は願いの代価として己の魂を差し出さねばならない。ただし、この代価を支払うのは数十年先の未来である。

・・・悪魔の邪まな力で満たされた人生を送れたとしても、結局その末路には地獄での永劫の責め苦が待つ、ということなのだろう。

ルキフゲ・ロフォカレ/Lucifuge Rofocale