地獄の一領域であるシオウルを支配するデーモンロードとして知られるベリアル。強大なる魔力を秘めるベリアルは、腐った魂に反する美しき外見、かつ優雅で威厳に富む姿で描かれる。

その名は「無価値」「邪悪」そして「反逆者」の意。彼は七つの大罪「傲慢」を司る悪魔ともいわれる。また、降霊術師は東方の支配者コダールと呼ぶ。

ベリアルの存在理由のうち大きくウェイトを占めるのは「欺く事」であるという。そんなベリアルのエピソードの中でも有名なのは、幾多の人を堕落させ、「ソドムとゴモラ」を滅びの道へと導き、挙げ句キリストを告発したこと。さらにはその力を生かしたのか、天使の反乱に加わった者達の大半をベリアルが引き込んだ、とする文献もある。

また、ベリアルは自身の正統性をバルトロマイの福音書の中で、このように述べている。『余は「サタネル=神の使い」と呼ばれていたが、神の偶像を拒否するや「サタナス=地獄を維持する天使」と呼ばれるようになった』。

さらに、ベリアルは自らが最初の天使であるといって憚らない。神はまず天使の中でベリアルを造り出し、次にミカエル、ついでガブリエル、ウリエル、ラファエルを創造したというのである。

確かにこの大天使たちは「復讐の天使」「死の天使」など、暗き名で呼ばれることが多々あるにしても、何とも大胆不敵な物言いであろう。

ただ、この不埒な自尊心と言動こそ、ベリアルのベリアルたる所以であるのかもしれない。

ベリアル/Belial