カカベルの名は「神の星」の意味する。コカベル、コカビエルとも呼ばれる。かつては全ての星や星座の配置・運行を司るという、強壮な力を持つエンジェルの君主であった。

星を操る者としては当然ともいえるが、カカベルは偉大な占星術師にして天文学者とも伝えられている。堕天してなお、星や星座の支配者であり続け、36万5千体もの霊を率いるという。

また、別称のコカベルの名から類推するに、かの「ウォッチャー」=グリゴリの一員であったようだ。そう、カカベルはシェムハザの先導の元、地上での受肉に合意しているのだ。そして地上に降りたカカベルは、人間に星の運行=占星術や星座についての秘密を教え、人間と交わったのである。無論、この出来事からカカベルは堕天使の一人と認識されるようになった。

現代科学のレベルで考えると星の運行を操れるとなれば、その能力は極めて強大、到底計り知れぬものだ。もちろん古代世界においても、星座の配置を司る=占星術(の結果)を自在に操れるのならば、占い一つで戦の有無を決めていた時代、その影響力は絶大といってよいだろう。

国家の命運から人々の心理まで、カカベルが己の望むままに操れたとしても、それは何ら不思議なことでは無いのだ。

・・・これほどの力を秘めていればこそ、地上の人々の止め処ない欲望と誘惑に否応無く飲み込まれ、堕落の道を歩んでしまうのは、無理からぬ事かもしれない。

カカベル/Kakabel