「曲がりくねった蛇」の意。レヴィアタンはキリスト教に於ける七つの大罪の「嫉妬:Envy」を司る存在である。

レヴィアタンはとぐろを巻く混沌の女竜であるという。また、タルムードによれば鰭から明光を放ち、太陽光を遮るとされる。底なしの窖に住む大いなる蛇と同一視されることもあるようだ。黙示録に記される終末の時には、身体は豹、足は熊、口は獅子で、七つの頭に神を冒涜する名が刻まれた王冠をかけた十本の角を生やす姿で現れるとされる。中世代に男性化され驕りの子全ての王となり、鰐もしくは蛇として描かれるようになる。

しかし、元来レヴィアタンは堕天使ではなく、古来より海に生息する巨大な怪物として、他の堕天使達と一線を画する存在だったようだ。

生い立ちは各地の伝承に多数存在する海の凶暴さ、恐怖を具現化させた存在と考えられよう。だが、世界各国の伝承に登場する海の怪物が実在する生物をベースにしているのに対して、レヴィアタンの場合、生息域が海であるのに自身は鰐とされている。その理由として推測されるのは、古代イスラエル民族と敵対したエジプトの象徴たる鰐を敵対者としてベースとした為、であろうか。

本来、レヴィアタンは人々にとっては畏怖すべき古の怪物であったが、中世以降の悪魔学によって邪悪な悪魔と定義された。その所業は旅人に取り憑きあらゆる嘘を吐露させると伝えられている。

レヴィアタンを古の海洋生物と定義した場合、彼女自身にとっては甚だ迷惑な話であろう。

レヴィアタン/Leviathan