聖典コーランにその名はないが、イスラム伝承で語られる死せる魂を審判する天使(マラーイカ)である。葬儀の参列者が帰ってから死者の墓に現れ、埋葬されたばかりの人の魂を呼び覚まし、その人の生前の信仰を調べるという。

その方法とは新しい死体をまっすぐに置き、預言者ムハンマドについて「ムハンマドとは何か答えよ」という問いかけをするというもの。敬虔なイスラム教徒であればこの質問に「彼は神の伝令である」と正しく答えられるのだが、不信心者や罪人にはそれはできない。

正しい答えを導けた者は、復活の日までの時間を安穏に過ごすことができる。しかし、答えられなかった者はイスラム教の安息日である金曜を除き、この審判の二人の天使によって、最後の審判の時までひたすら体を叩き続けられるという。

彼らムンカルとナキールは、罪ある人々にとっては天使というよりは、むしろ仏教でいう地獄の鬼のような存在であると考えられるだろう。

ムンカル&ナキール/munkar & nakir