アムシャ・スプンタ第二位「善思」を象徴する男性の大天使。アフラ・マズダによる最初の創造物とされるウォフ・マナフは、善神最高の片腕として強大な実力を備える。そして祝福された魂を天国へと迎え入れ、預言者を善神の元へ誘う。また、平和の為に祈られる存在であり、家畜・動物の統括者である。

ウォフ・マナフは悪魔(ダエーワ/Daeva):アカ・マナフ/Aka Manahの「悪思」と対立するという。アカ・マナフの悪思とは、善思が人々の中へと浸透することをひたすらに妨害する、というものである。ちなみにダエーワとはインドのディーヴァに相当すると考えられる。

ウォフ・マナフの最大の任務の一つ、「神の教えを宣告」することは、紀元前600年頃、ゾロアスターに神の言葉を伝えたことで成就された(これはガブリエルが預言者ムハンマドに行った行為と非常に近しいだろう)。預言者ゾロアスターはこの宣告を受け、古代ペルシャ帝国最大の宗教:ゾロアスター教(拝火教)を成立させたのである。

そして、このウォフ・マナフから伝えられた「天国と地獄」・「善と悪の対立」・「終末の審判」・「最後の復活」というゾロアスター教の概念は、後のユダヤ、キリスト教の教義にも多大な影響を及ぼしていく。

また、ウォフ・マナフは、全ての人間について、その行動を日に三度記録するという。この記録は終末の審判の時、魂の善悪を判断する基準になるのである。

ウォフ・マナフ/Vohu Manah