ここで挙げる都市の守護天使たちは、結果的にほとんどの者達が堕天したと考えられている。守護するはずの人々との接触が増えるほどに、誘惑に負け堕落する天使が後を絶たず、最終的にはイスラエルのミカエル以外、皆堕落してしまうのだ。このような「人間世界に触れることは堕落への第一歩」という伝承は、「ヘブライの信仰の正当性」を暗に示すものと考えられるだろう。都市の守護天使で名の知られるのは「マタイ伝」などに記されたごく少数の者のみ。以下、判明している天使について列挙する。

エジプトの守護天使  ラハブ/Rahab
過去、海の王子ラハブは神の怒りに触れ、神自らに蹴り殺される。神は酷い悪臭を放つ彼の死骸を、海の中へ棄てた。そして後世、彼はエジプトの守護天使として復活し、エジプトからモーゼとユダヤ人を逃さぬよう暗躍したが、結局それは失敗に終わった。

エジプトの守護天使  ウザ/Uzza
ウザはエジプト人を救済すべく天使の陪審の前で弁論した。「紅海を渡るユダヤ人を追跡するエジプト軍を神が溺れさせるのはやめるべき」と。無論主張は却下され、軍隊は海の藻屑と消えていった。

ペルシャの守護天使  ドビエル/Dubbiel
ペルシャ帝国の隆盛は守護天使ドビエルが天国での戦いに勝ち続けた故だろう。古代ユダヤ人は、都市の守護天使同士の天界での戦いの優劣が、人間世界の勝敗にも影響を与えると考えていたのだ。彼は古代地政学上重要な神格でもあり、熊の神としても知られる。

イスラエルの守護天使 ミカエル/Michael → 詳細
ローマの守護天使 サマエル/Samael → 詳細

都市の守護天使/Angels of Guardian