「神の命令」と呼ばれる大天使サリエル。その任務は人間の霊魂を見守る=人が過ちを犯さぬよう監視する事。スリエル/Suriel、サラカエル/Sarakiel、ゼラキエル/Zerachielなどの別名が知られている。

サリエルはエノク書によると「霊魂を罪に誘う人の子らの霊魂を見守る」とされている。また、神の法を軽んじた天使の運命を決定すること、ともされる。月の運行に関する秘密を知る。そしてその秘密の知識を人に伝えたことで堕天したとも言われる。サリエルの姿は倭人ともいわれ、シンボルは「鍵」である。

サリエルは「邪視」能力を持つ。いわゆる「邪眼」、イービル・アイ/Evil・Eyeとは、見つめられたものに病や怪我、そして不幸を与える。凶悪なものになると睨むだけで相手を服従させ、時には命を奪い、果ては天変地異さえ引き起こす。

彼の邪眼とはこのような能力なのだが、何と歴代教皇の中に同じような邪眼能力者がいたと伝えられる。その人とは19世紀のローマ教皇ピオ9世(1792〜1876)。彼が行幸すると沿道の人々は、恐怖のあまり我先にと逃げ出したというのだ。…そんな邪眼の力から逃れる為、サリエルの名を記した護符を持つという習慣があったともいわれる。

サリエルは邪眼という天使らしからぬ能力を持つ。さらに魔術に極めて親和性を持つ「月」の秘密を知り、その知識を人(モーセともいわれる)に伝えたことを理由に堕天した、とされる。…その際、彼は何も語ることなく優美に天より離れていったという。

このように様々な曰くを持つサリエルだが、「栄光の天使」の候補者の一人と伝えられている。

サリエル/Sariel