王であり、祭司であり、預言者であり、そして天使となったメルキゼデク。彼はカバラ思想の中ではアブラハムにカバラの秘儀を伝えた天使とされており、この秘儀のうち「伝授したもののうち"文字に示せない"秘密の教え」がセフィロトの樹のルーツになった、と伝えられている。
メルキゼデクは旧約聖書では「王」であり、また祭司とされた。その名は「神ゼデクは我が王」という意味(ゼデクはバビロン捕囚前のユダヤ王の名)。新約聖書では「正義の王」「平和の王」とされる。創世記ではサレム(エルサレム)の王とされ、イスラエルの父祖アブラハムを祝福した。
詩篇には「祭司」としての資質が記され、新約聖書では神の子イエスが「メルキゼデクと同じような祭司」として大祭司の継承者と伝える。さらに、メルキゼデクには両親・系図すら無く「・・・生涯のはじめも無く、命の終わりも無く、神に似た者であって、永遠の祭司である」と記される。
エノク書では、ノアの「超自然的な」息子セムとされる。セムはノアの箱舟では給餌をしていた。また、ミカエルが彼を天界へ連れて行き、天使としての新しい生を与えている。メルキゼデク=セムは、ノアの息子達の中でも格段に霊力が高かった。それ故、偉大な預言者やイエスが引き継いだ大神権(※)をセムも獲得している。※祭祀の一族:レビ族の神権よりも遥かに霊的位階が高い
聖書以外では、初期のギリシアの著述家達はメルキゼデクのことを美徳、平和の王子と呼び、・・・フェニキアの神話では「七人の存在の天使の父」であるとされた。
ノアの息子でイエスの雛型、そしてアブラハムを祝福する天使となり、生命の樹の秘儀を伝える。メルキゼデクは、ユダヤやキリスト教、そしてカバリストにとって極めて重要な役割を担う天使と言えるだろう。
