死を宣告し、魂を天国か地獄へ連れ去る任務を帯びる天使。死の天使は様々な名称・姿形が伝えられる。本来は恐ろしい表情をしているというが、生きている人間を騙し、或いはなだめて魂を渡させるため、どのような姿にもなる事が出来るようだ。ただ、人前に現れる際は放浪者の姿をとることが多いようではある。

旧約聖書には、神がこの天使に死をもたらす力を委任したとある。ユダヤの伝承では、死の天使はしばしば冷酷で魂を奪い去る存在とされるが、彼ら死の天使は直接的に死者の魂を奪うのではなく、人の死の間際に居合わせただ死を見守るだけ、とも云われることがある。また、他のユダヤの伝承では、死の天使の訪問を受けた人間がその事実を認めず、人と天使とで争い騙しあったり、時に死の天使が人に哀れみを覚え、別の機会に訪れようとすることもあると伝えられる。

与えられた任務の重要さからすると、その行動基準にはブレを感じさせるが、それも天使が「完璧」ではないことの証左なのだろう。彼ら天使たちもまた、神の命を果たそうと行動しているにすぎないのだ。

ユダヤ人にとっての死の天使とは、いまだ死の時期に達していない立法者(トーラー)モーゼの前に訪れ、逆襲されて盲目となった天使サマエルと同一視されるようだ。キリスト教徒にとって名の知られた死の天使は「霊魂を霊界に導く先導者」のミカエル、イスラム教徒にとってはアズラエルとなる。他に死の天使として挙げられるのは堕落した天使も含め、モーゼを飲み込む天使アフや、メタトロン、ヘマハ、カフジエル、ケゼフ、マシト、マラク・ハ・マヴェト、イェフディア、イェツェル・ハラ、「滅ぼす者」奈落の王:アバドン(アポリオン)、女大海魔レヴィアタン、サタン、サマエル、イブリースなどである。

死の天使/Angels of Death