モラクスとも呼ばれる。牡牛の頭を備えた人間または、醜い男性の頭の牡牛の姿で現れる。30もしくは36の悪魔軍団を率いる長官で、伯爵でもある。

マラクスという名はゲーティア以外ではあまり登場しないが、その語感や姿などからエジプトのアモン人が崇拝したモレクやそれをルーツにしていると思われるミノタウロスと同じ悪魔ではないだろうか。

聖書出エジプト記第32章第4節でモーセの兄アロンが造った金の牛の偶像はモレクだと思われる。これはモーセがシナイ山に登り神から十戒を授かっている時に行われたヤハウェに対する最初の背信で重要なエピソードである。

マラクスは天文学やさまざまな科学技術を人に教えるといわれている。中世において天文学とは文字通りの天文学と占星術を併せ持った学問であり、特に後者の方を重要視していた。聖書やその他の文献にも占星術や夢解きのおかげで権力者に取り立てられる話は数多く、占いが重要な技術であったことがうかがえる。

彼は、占いだけではなくそれに欠かせない薬草や宝石の効用についても教授してくれる。また、召還者に良き使い魔を与えるともされており、彼の配下の悪魔を貸してくれるのであろう。

「ソロモン72柱」 悪魔紋章 "21 マラクス/Marax"
 悪魔紋章 "21 マラクス/Marax"

「ソロモン72柱」 21 マラクス/Marax