七つの大罪 / Seven Cardinal Sins

七つの大罪(七つの罪源)は「罪」自体を意味するのではない。「感情」や「欲望」といった人を罪に導く可能性がある、人間に備わる始原的なものを指す。

歴史的に初めてこの概念が記されたのは4世紀のエジプト。このときはまだ罪の概念が整理されておらず、八つの「枢要罪」があった。「暴食」、「色欲」、「強欲」、「憂鬱」、「憤怒」、「怠惰」、「虚飾」、「傲慢」である。

6世紀後半になると、グレゴリウス1世の手により現在知られる七つの罪に改められる。新たに「嫉妬」が追加され、「憂鬱」と「怠惰」は統合、「虚飾」は「傲慢」に含まれた。16世紀後半になると、七つの大罪の一つ一つに呼応する七体の悪魔リストが作り出される。後に通俗的なグリモアで頻繁に利用されることとなるこのリストに示された悪魔たちは、自らが司る罪を人間に犯させる力を持つ。

「傲慢/Pride」:ルシファー(ベリアル)、 「嫉妬/Envy」:レヴィアタン、
「食欲/Gluttony」:ベルゼバブ、 「色欲/Lust」:アスモデウス、
「怠惰/Sloth」:ベルフェゴール(アスタロス)、 「貪欲/Greed」:マモン、
「憤怒/Wrath」:サタン

七つの大罪の悪魔は動物の姿で描かれることもある(孔雀の羽根を備えた悪魔を中央に、傲慢:獅子、嫉妬:蛇、暴食:豚、色欲:蠍、怠惰:熊、貪欲:狐、憤怒:一角獣)。大罪と対を為す、美徳(忠実、貞節、知恵、愛、希望、慎重、勇気)も存在する。これら大罪と美徳は中世占星術の象徴としても用いられ、七つの惑星(木星、月、水星、金星、太陽、土星、火星)と結びつく。この占星術体系においても動物が象徴とされるが、特段七つの大罪の動物と合致させる意図はなかったようだ。