天使九階級 / Angel Hierarchy

「天使」の概念を解説するにあたり、一つの例として天使長ミカエルら四大天使が属する「階級」について考えてみたい。彼らは天使の階級でいえば8番目の階級「大天使」である。だが、この階級だけで判断するなら、なぜ低位の階級のミカエルが「天使長」たりえるのか?・・・実は、聖書の正典には「天使の階級」という概念は存在しないのである。

では、世に知られる天使の知識とは一体どこから生まれたのか?これは天使という存在が語られるようになってから、時々の聖人、識者、神学者によって新たな役回り=設定として様々な概念が加えられた結果、と考えられる。最初は「天使」だけだったものが、それを束ねる「大天使」が必要となり、悪魔と対峙する「能天使」が・・・、というように。

そのような成り立ちの上で現在最も普及している階級概念は、紀元6世紀、シリアで編まれた偽ディオニュシオス「天上位階論」の「天使九階級」といえよう。この天上位階論を元に教会の権威を改めて付与した13世紀の聖トマス・アクィナスの「神学大全」によって、天使の九階級(まず上・中・下の三隊に分かれ、さらに各隊の中で三階級に分類される)はその概念を確固たるものにしたのである。


上級天使 : 「熾天使」・「智天使」・「座天使」。神と直接交わり、神の光をその身に受ける栄誉と責任を持つ。彼らは精神的・霊的な存在であり、その姿形は極めて概念的である。

中級天使 : 「主天使」・「力天使」・「能天使」。上級天使から受けた神の光を下級天使に伝える役目を担う。また、その存在は霊・物質の中間的なものである。

下級天使 : 「権天使」・「大天使」・「天使」。より高位の天使から受けた神の光を人の子に伝える。彼らは天使の中でも物質的なものであるが故に、肉体の堕落も受けやすい。